神の報いは、報いを期待せずに仕える者に与えられる
(ディーター・F・ウークトドルフの話参照)
イエス・キリストに12人の弟子がいます。つまり「十二使徒」と言われる人達です。その十二使徒の中に、ヤコブ、とヨハネ、がいます。この二人は兄弟です。ちなみにイエスに最初に選ばれた弟子は、ペテロとその弟のアンデレで、次にヤコブとヨハネの兄弟でした。この人達は共に漁師であった。
このヤコブとヨハネの兄弟は「雷の子」というニックネームをつけられていました。二人の性格からそういう名前が付けられたようである。また彼らは漁師で、多少無骨な性格で行動派でした。
イエスが エルサレムへの最後の旅の準備をされていた時、ヤコブとヨハネは、特別な願い事をしようとイエスに近づきました。
二人は「わたし達がお頼みする事は、何でも叶えてくださるようにお願いします。」というと、イエスは 『何をして欲しいと願うのか?』とお尋ねになった。
すると二人は「栄光をお受けになるとき(天国で)私達の一人をあなたの右に、一人を左に座るようにしてください」 と答えました。
イエスは、その願いにこう言われました『私の右と左に座らせる事は、わたしのする事ではなく、ただ、備えられている人々だけに許される事である』といわれました。 言い換えれば、天の王国の誉れは選挙運動のようにして、得ることは出来ない、ということです。
このヤコブとヨハネの願い事について、聞いた他の10人の弟子達は憤慨しました。
そこでイエスは、権力の持つ性質、またそれを求める人や、持つ人が受ける影響について、使徒達にお話になりました。
『この世で影響力のある人々は、その権威ある地位を利用して他の人々の上に権力を振るっている。』と言われました。
『あなた方の間では、そうであってはならない、かえってあなた方の間で、偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、あなた方の間で かしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。』
[あなたがたのうちで、いちばん偉い者は、仕える人でなければならない]
神の王国における偉大さや指導力とは、人々の真の姿を神がご覧になるように見て、彼らに手を差し伸べ、仕えることを意味します。
喜ぶ者とともに喜び、悲しむ者とともに泣き、落胆する者を励まし、キリストが私達を愛してくださったように、隣人を愛することです。
救い主(キリスト)は、社会的、経済的状況や、人種、宗教、言語、政治的思想、国籍など、いかなる種類のグループに関係なく、神のすべての子供達を愛しておられます。そして私達もそうすべきです。
神の最も大いなる報いは、「報いを期待せずに仕える人々」に、与えられます。
それは、周囲の称賛を浴びずに奉仕をする人や、他の人を助ける方法を人知れず探す人、ただ神と神の子供達への、愛ゆえに人々に仕える者に与えられるのです。
奉仕する機会としての召し
いと高き神の息子・娘として、私達は『貧しい者と乏しい者、病気の者と苦しんでいる者を、すべてのことにおいて思い起こしなさい。これらのことを行わない者は、私の弟子ではないからである』と言われています。
善い行いをし、人々に仕える機会は限りなくあります。地域社会、職場や学校、もちろん家庭においてもそのような機会を見つけられます。
それに加えて教会のすべての会員は、それぞれ奉仕の機会を与えられます。教会は私達がキリストに従う真の忠実な弟子となり、神の高貴な息子、娘となれるように助けるためにあります。
大きな奉仕も、ささやかな奉仕も、私達の霊を洗練し、私達が仕える人々だけでなく、私達自身も神の祝福が注がれます。
人々に手を差し伸べるとき、神は確かにそれを認め、称賛してくださっていることを私達は謙遜に確信をもって知ることができます。
私達が、心からの思いやりに満ちた奉仕をささげるとき、特に誰からも見られず、気づかれずにそれを行うとき、神は私達にほほえみかけてくださいます。
弟子の務めを正しく果たす
私達は時折、雷の子のように人から注目される地位を望みます。
認められようと躍起になります。指導し、人々の記憶に残るような貢献をしたいと望みます。
何事も野心や虚栄からするのではなく、各々へりくだった心を持って互いに人を、自分より優れた者として接しなさい、と教えられています。
まとめ
人々への真の謙遜な奉仕を、提供する見返りに誉れや名声を得ようとするのは、この世の報いは受けるかも知れませんが、大きな代価を支払うことになるでしょう。 天からの承認を失ってしまうのです。
世の誉れを求めず、御父の御心を行おうとされた、柔和で謙遜な救い主の模範に倣いましょう。
熱意と感謝と敬意を込めて、謙遜に人々に仕えるようにしましょう。
私達の奉仕の行いが、たとえ平凡で目立たず、ほとんど価値がないように思えても、親切と思いやりの心で、人々に手を差し伸べる人は、いつの日か全能の神の永遠の聖なる恵みによって、その奉仕の価値を知るでしょう
『あなたがたのうちで、いちばん偉い者は、仕える人でなければならない』というイエス・キリストの、最も重要な教訓を熟考し、理解し、実践できますように。